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1.牛乳用ペットボトル
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■牛乳用ペットボトル
ミネラルウォーターや清涼飲料水などに使われているペットボトルの「ペット」は、ボトルの材料と
なる合成樹脂の主な原材料となるポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)の頭文
字(PET)です。
ペットボトルはミネラルウォーターや清涼飲料水などの持ち運びに広く利用されていますが、牛乳等
の容器として使用することについて、厚生労働省から食品安全委員会に対し、食品健康影響評価が要
請され、平成19年に食品安全委員会において評価が終了しています。
■食品健康影響評価の概要[2007年(平成19年)]
安全性を評価したPETは、使用される原料(エチレングリコールなど)と添加剤(二酸化チタンなど)
を限定されたものです。原料は、食品健康影響評価時、すでに欧米や我が国において食品用の器具や
容器、包装材として使用されており、添加剤も牛乳等のポリエチレンやポリプロピレン製容器包装へ
の使用が認められているものでした。
また、PETから重金属、触媒などが牛乳中に溶け出してこないか、長期保存試験を含めたさまざま
なデータが検討された結果、PETは牛乳等に使用しても十分な安全性が確保されていると判断しま
した。
一方、例えばペットボトルに入った牛乳などは、食中毒防止の観点から、保存の条件や期間などの衛
生面に気を付けた使用が必要です。
※牛乳用ペットボトルのリスク評価「乳及び乳製品の容器包装の規格基準改正(ポリエチレンテレフ
タレートの追加)」
http://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20071024070
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2.シリコーン
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■いろんな用途に使用されるシリコーン
シリコーンは、耐熱性や耐寒性に加え、撥水性、離型性など多くの特性を持ち、ゴム状、レジン(樹
脂)状、オイル状と、形状もさまざまです。エレクトロニクスから建築、化学、繊維、化粧品まで幅
広い分野で利用されています。また、食品添加物に指定され、豆腐やジャムを製造するときの消泡剤
などに使われるものもあります。
※シリコーン
シリコンを含む人工の高分子有機化合物の総称。さまざまな形状、性質のものがあります。
■シリコーン原料が食品へ移行する可能性
シリコーンゴム製のオーブンや電子レンジ用の調理器具は、100℃以上の高温で使用されることも多
く、製品中に残存するシリコーン原料(シリコーンオリゴマー)が食品へ移行する可能性が心配されて
います。最近の研究において、シリコーンゴム製調理器具で調理した食品への化学物質の移行量が測
定され、油脂分の多い食品に、シリコーンオリゴマーが移行することが報告されています。
なお、牛乳や乳幼児用調製乳をシリコーン製のベーキングシートに直接接触させた試験(40℃/6時間)
では、シリコーン原料の溶出は検出されませんでした。
※シリコーンオリゴマー
低分子ジメチルシロキサン(ケイ素と酸素を骨格とし2個のメチル基が結合したもの)が2〜10個連な
ったもの。シリコーンゴムは、シリコーンオリゴマーを重合させて合成されるポリマー(化合物)。
■調理器具に用いられているシリコーン(概要)[2013年(平成25年)]
調理器具などのシリコーンゴム製品についてのリスク評価等は行われていませんが、移行が心配され
ているシリコーンオリゴマーが人に与える影響について、カナダ環境省は化学物質管理計画に基づく
最終評価において、人の健康には影響しない、と評価しています。
また、欧州委員会の消費者安全科学委員会は化粧品用途で使用した場合のリスク評価を行い、この中
で、経口摂取による健康影響についても評価しています。その結果、経口での急性毒性は低いこと、
遺伝毒性(変異原性)は陰性であることが示されています。
※ファクトシート「調理器具に用いられているシリコーン」
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/130617_silicone.pdf